続・薬剤師で公務員という働き方について

どうでもいい話公務員, 地方公務員, 薬剤師

さて、前回、薬剤師として地方公務員になるとどんな仕事をすることになるのかについて、自分の経験からわかる範囲で紹介しました。

今回は、公務員として仕事をしてみて思ったことを適当に書きます。

これから書くことはあくまでも個人の感想です。

僕は公務員しか経験がないので、僕が感じたことが公務員に固有の特徴なのか、そうでないのかは判断できません。

( ´_ゝ`)フーン

くらいの気持ちで読んでください。

試験はそれほど難しくない

薬剤師で公務員になりたい場合、当然のことながらまずは募集に応募するところから始まります。

薬剤師や獣医師などの資格職の場合、それぞれの職ごとに募集がかかります。

4月~5月ごろに自治体の人事課とかのHPを見ると、募集案内が出ているかもしれません。

一度に募集される人数はそれほど多くないと思います。せいぜい2~3人でしょうか。
自治体によって事情は違うと思いますが、基本的には欠員が出た場合に補充という形になると思います。

だから、欠員がない場合は募集がない年もあります。

自治体によっては年齢制限もあるでしょう。

僕がいた自治体は人手不足で欠員も多かったので、夏以降も募集がかかることが多かったです。

試験は普通に筆記試験と面接でした。

実はダメもとで受けました

実は、僕が試験を受けることを決意したのは本番の1ヶ月ほど前でした。そして当時なんだかんだと忙しくしていたので、試験勉強に割けた時間は正味2週間程度だったのです。

だから、筆記試験で落ちても全然不思議じゃないし、ダメでもともと、という気分でした。

筆記試験は一般教養と薬学の専門分野に分かれていました。

たったの2週間でできる勉強なんてたかが知れているので、薬学に関する勉強は最初から捨てていました。国家試験の時に勉強した知識が少しは残っているだろうと判断したのです。

本屋で地方公務員試験の問題集を1冊買ってきて、一通り解いてみました。

その結果、一般教養もガチで勉強しようとすると膨大すぎてどう考えても時間が足りないということがわかりました。この時点で、もう出たとこ勝負で良いんじゃねーか?という気分に傾いてきました。

ただし、一般教養の中に「数的推理」という分野があるのですが、これは少し独特なので、これだけはあらかじめ練習しておいて良かったと思いました。

そして当日、一般教養は問題集の甲斐もあってほどほどに解け、専門は拍子抜けするほど易しい問題しか出ませんでした。

なーんだ、ビクビクして損したぜ、てな感じでした。

というか、その時の募集人数は3人だったのですが、試験を受けに来たのも僕を含めて3人でした。

そりゃ落ちんわな。

面倒くさい人間ではありません

面接では大学時代の研究内容のことなどを聞かれたのですが、一つだけ今でもよく覚えている質問があります。

面接官「あなたは友人からあなた自身の人間性について何か言われたことはありますか?」

僕「お前は色々と複雑に考えすぎて面倒くさいな、と言われたことがあります」

面「それに対してあなたはどう思いましたか?」

僕「そんなことはない、自分は面倒くさい人間じゃない、おかしいのはお前だ、と思いました」

面「はい、わかりました」

なんのための質問だったのでしょうか。

試験は受かりました。

稼げる仕事ではない

公務員の給料は決して高くありません。

最近公務員の給与引き上げのニュースをちょくちょく見かけますが、あれは国家公務員の話ですからね。

地方公務員はそうでもないです。
むしろ、人手不足で一人当たりの仕事量は増えているにも関わらず、民間と合わせるだなんだと御託を並べて、給料は増えないわ仕事は減らないわ(むしろ増えるわ)で、なんというかこう、

ふざけるんじゃない!

という感じでしたね。

当然自治体ごとに事情は違うんでしょうが、少なくとも私のいた自治体はそうでした。

まあ、地方自治体の場合、確かに財政に気を使わないと夕張みたいになっても困りますけど。

要するに悪いのは国(政府)だって話。
地方創生とか変な言葉を造ることだけは一生懸命なくせして、実際は地方のことなんてどーでもいいと思っているわけですね。

いかん、話が逸れてきた。

地方公務員の給料はそれほど高くないって話でしたね。

一人暮らしなら食うに困ることはないでしょう。結婚して家庭を持つとなると、一人で家族全員を養うのは厳しいかもしれません。特に若いうちは。まあでもそれは公務員に限った話じゃないか。

薬剤師なら薬局やドラッグストアに行ったほうがよっぽど良い条件で働けるのではないでしょうか。

ただし、公務員は年齢が上がるにつれて僅かずつでも確実に昇給していきますから、定年までに稼げる額となると、どちらが良いかは微妙なところですね。

安定感だけは抜群

公務員は基本的にクビを切られることはありません。多分。

僕の短い公務員生活の中でも、

こいつは……

と思わせるような、ちょっとイカレた不器用な人というのは何人かいました。

けれど、いかに仕事ができなかろうが、むしろ仕事をすることによって周りに迷惑をかけようが、それを理由に退職させられるということはなかったようです。

まあ、慣れてしまえばそういう人とも意外とうまくやっていけるものですしね。

ともかく、公務員は自分が望まない限り退職させられるということは多分ありません。

あと福利厚生は充実しています。

通勤手当や住宅手当など、各種手当は申請すればちゃんともらえますし、退職金も確実にもらえます。
定年まで勤めあげれば結構な額です。

公務員の仕事というのは利益を追求する性質のものではないため基本的に成果が目に見えづらく、また組織として住民にサービスを提供していくため、職員間で競争原理が働きにくいです。

だからやりがいを感じにくい一方で、最低限こなしてさえいれば毎月確実にお給料がもらえて、それが定年まで保証されているとも言えます。

一応断っておくと、僕は公務員と民間の性質の違いについて、どちらが良いとか悪いとかは思ってないです。公務員の性質というのは、住民に必要な基本的なサービスを長期にわたって提供する必要性から獲得されたものだと思いますので、比較してどうこう言うものではないと思っています。

みんな顔見知り

民間はどうなのかわかりませんが、公務員は大抵2~3年のスパンで異動を繰り返します。

よほど強い意志で同じ職場に留まりたいと願い出ない限り、異動して色んな職場を経験することになります。

ただし、研究機関と病院は例外で、こちらは逆に強い意志で異動を願い出ない限り異動しないようでした。求められる能力がそこに特化しているからでしょうか。

ともあれ、長いこと勤めているとほとんどの職場を回ることになり、場合によっては以前いた職場に2回目、3回目と異動することにもなります(繰り返しますが研究機関と病院は例外)。

そうこうしているうちに、どこにいっても顔見知りばかり、以前一緒に仕事をした人ばかりとなっていきます。当然経験が長くなればなるほどその人数は増えていきます。

そうして、お互いの人間性や仕事をするときのやり方などが共有されていきます。

また、そのようなネットワークがあると、違う職場と連携して仕事をするときにも色々とやりやすくなります。

僕はそれほど長く勤めたわけではないのでそんなでもなかったですが、他の人達がそういった横の繋がりをとても大事にしているということはすぐに感じ取れました。

このことは、組織が維持されるうえで非常に大きなことだと思うと同時に、個人的には

ああ、ちょっとこういうの苦手だな……

とも思っていました。

コミュ力低いんですよね。

異動が多いと、せっかく仕事を覚え始めたころに異動、ということもあるので、デメリットもあると思います。一方で、同じ職場に居続けると他所で働きづらくなり、異動させづらくなって、組織が柔軟性を失っていく原因となるかもしれないですし、どちらが良いのかはよくわかりませんね。

優等生タイプが多い

僕が仕事で関わった人達は、基本的にみんな優等生でした。

努力するのが当たり前で、上から言われたことはできるだけ言われたとおりに実行するのが当たり前で、頭が良くて、外面も良い。

僕は根が適当なやつなので、そういう人たちを見ると、

鼻持ちならねえ奴らだぜ

とか思ってしまうのでした。

ただし、職場によっても性質が少しづつ違うようでした。

例えば、研究機関にいたときは前回書いた通りあまり忙しくなかったので、気持ちに余裕があるのか何なのか知りませんが、おしとやかな優等生とでもいうか、きつい物言いは基本せず、言いたいことはお腹の中に貯めるタイプが多かったです。

僕はこのウェットな感じが非常に気持ち悪くて、

言いたいことははっきり言えや!

といつも心の中で思っていました。

逆に保健所で衛生行政業務をやっていたときは仕事が山積みだったので、持って回った言い方をして時間を無駄にするよりは、伝えたいことをはっきりと伝える感じ。

お互いに気を遣いつつも言いたいことは言う。ちょっとくらいの軽口は世間話としてさらっと流す。

個人的には一番居心地の良い職場でした。

ま、個人的な感想ですけどね。

世の中色んな人間がいる

このことを実感として理解することができたのは、この仕事をして良かったと思ったことの一つです。

一緒に仕事をする同僚に対して死ぬほど腹が立って、

こいつ、どうしてくれようか

とか思うこともあったのですが、そんな時は、

まあ、色んな人間がいるからしゃーない、

と思うようにしていました。

またこのことは、同僚に対して以上に、保健所で衛生行政業務に携わっていた時に地域住民に対して強く感じました。

この仕事をしていたときは地域住民と直接話をする機会が多かったし、勤務時間の半分くらいは外に出て直接店に出向いたりしてましたからね。

中には、公務員というだけで毛嫌いされて、こっちの話は一つも聞いてくれないこともありました。

飲食店に指導に行ったら、「こっちは何十年も問題なくやってんだから、お前なんかに教わることはない!」と言われてしまったこともあります。

問題がある店に改善してほしい旨を伝えたら、逆切れされて、「訴えるぞ!」とか言われたこともあります。

一回言っただけで指示に従ってくれる人もいれば、何回言っても聞いてくれなくて、上司に助けを求めたことも何度となくありました。

そういう場合って大抵はこっちの言い方にもなんらかの問題があって、相手を不愉快にさせていることが多いんですけどね。

そうして反省もしつつ、でも最終的には

世の中色んな人間がいる、

と自分を慰めるしかなかったのです。

必要なのは多分愛着

上の方でもちょっと書きましたが、公務員の仕事というのはすごくやりがいがある、というわけではないです。

すごく儲かるというわけでもないです。

そういう仕事を長く続けるためには、その自治体、土地、そこに住む住民に対する愛着が必要なのではないかと個人的には思います。

なんだかんだ嫌なこともあるけど、この土地でずっと縁の下の力持ちをやっていくんだという覚悟のような、諦めのような、そんな気持ちがないと続かないように思うのです。

僕はそこまで思えなかったので辞めることになりました。

この記事は自分の経験や思いを文章にまとめることで、次に繋がるような考えが浮かぶかもしれないという期待も込めて書いているのですが、次はもっと愛着もって続けられる仕事が見つかると良いなと思いつつ、しかしまだ転職活動は何一つ始めていない私なのでした。

終わり